警察の見聞が終わると
アパートに帰り、空腹を満たす。
着替えると左脚の脛に擦り傷があるのに気づいた。
なんとなくヒリヒリすると思っていたが、衝撃を受けた瞬間にぶつけていたのだろう。
首などに痛みはなかったが
念のため翌日病院に行くことにする。
平日なので、会社に連絡してその時間休ませてもらうことに。
相手の保険会社、ソニー損保の女性担当者から電話があった。
こちらが赤信号で停止していたため、当然責任は0対100だ。
大切にしている車だってことを強調して
直ればよいというものではないことを、この時点で伝えた。
軽い怪我があること、明日病院へ行くことを告げると、そのうち相手の男、Mからも電話があった。
保険会社から聞いたのだろう
怪我があることを誤ってきた。
その場は、この後の手配をよろしく頼むことをお願いし、電話を切る。
翌朝、改めて車の様子を見る。
左後ろがへこみ、ところどころめくれている。
高級車ではないが、まだ買って半年ちょっとの車を思い切りへこまされた憤りと悔しさは想像してもらえるでしょう。
病院へ行き、受付をして待っている間、ソニー損保から電話があり、受診先を伝え、自分で支払いしなくてよいように手配してもらう。
物損の方はまた別の担当者になるということだ。
何度か電話がかかってきて、近くのおばさんからちょっと睨まれる。
幸い、擦り傷以上の異常は認められなかった。
中途半端な時間だったので
出社は午後からにした。
会社に着くと、事故に合ったことが伝わっている人から、大丈夫かと心配され、久しぶりに小学生の頃のような「ヒーロー感」を感じる。
こんなふうに笑って話せるのが幸いだ。
もし、相手の車がもっと大きい車だったら
または、ルーミーに乗り換えてなくて自分が軽自動車だったら
考えると怖くなる。
完全に防げた事故だ。
そんなことで、もし命を奪われたらどんなに悔しいだろう。
明らかな嘘で車のせいにして自分の非を軽減するような言い訳をされたら、怒りは底知れない。
事故を起こすなんて想像しないままステアリングを握っている人が多いのだろうな。
やはり、怖さは教習所で見るビデオではあまり伝わらない。
病院へ行くこと、これはまだまだ序章に過ぎなかった。
(つづく)