突然、ダーーンッ!!!!!
という大きな音と共に衝撃を感じた時
思わず
あっ
と声が出てしまった。
それは、夜の7時過ぎ、仕事からの帰り道だった。
帰りにATMなどに立ち寄り、いつもより遅くなったため既に暗くなっていた。
赤信号の一番前で停車していた時、後ろから商用の小型バンが突っ込んできたのだ。
とりあえず、大きな痛みはない。
当たり前だが、全く予定していなかった突然の出来事に、一瞬だけ頭が真っ白になり、すぐに、何してくれたんだ、まったく
と呆れる気持ちになった。
ゆっくり、車から降り
まずはスマホで自分の車の写真と相手の車の写真を撮った。
相手の車も顔が平たいバンだったため
一見遠くからみたら
車の損傷は激しくない。
しかし、左リアがかなりへこんでいる。
相手は車内で電話をかけている。
電話が終わり降りて来たのは
ひょろっとした若い男だった。
か細い声で
すいません
と頭を下げ、左手で自分の右腕を掴み立ち尽くす。
警察を呼んだと言うので
そのまま待つ。
意外にも自分は冷静だった。
買って間もない新車をぶつけられ、キレると思っていたが、予想以上に静かな怒りだった。
警察が到着すると
車を脇に移し
別々に事情聴取を受けた。
その時、横から聞こえてきたひとことに
耳を疑った。
「ブレーキを踏みましたが、効かなかった」
その瞬間、決心した。
簡単に許さないと。
(つづく)